技術分野
マツノザイセンチュウ及びマツノマダラカミキリによって引き起こされるマツ材線虫病(松枯病)を、キク科センダングサ属のアワユキセンダングサ(Bidens pilosa L. var. radiata Scherff.)の抽出物を用いて防除する防除剤及び防除方法に関する。
実用化技術
現在、具体的な商品開発は達成できていないが、植物抽出液またはその加工資材、有効成分を活用することにより、様々な形態の防除剤として開発できる可能性がある。抽出液の活性はマツノマダラカミキリの成虫だけでなく、幼虫や病原体であるマツノマダラカミキリにも発揮されることから、松枯れ病防除剤の素材として優れていると考えられる。写真左:抽出液を噴霧し死亡したカミキリ、右:抽出液処理により死亡しカミキリの幼虫。
技術の特徴と優位性
マツ材線虫病は、マツノザイセンチュウを媒介するマツノマダラカミキリがマツ属植物の表皮を摂食することで、線虫がマツ属植物の組織内に侵入して起こる松枯れ症状であるが、このマツ材線虫病の防除を行うには、病原であるマツノザイセンチュウだけでなく、線虫の媒介者であるマツノマダラカミキリを防除することが重要である。本成果では、キク科センダングサ属のアワユキセンダングサ抽出物が、マツノマダラカミキリに対し、高い抗虫活性(殺虫及び忌避効果)を発揮することを初めて見出した。アワユキセンダングサは、ヒトや野生生物、環境への影響が小さいため、低負荷で安全性に優れた環境配慮型の防除剤及び防除方法として利用できる。
関連する特許や論文等
特許第5560499号