技術分野
波浪を減勢し、波の打ち上げ(波飛沫)や越波、反射波、港内振動、湾内振動などを抑える目的で、海岸、河岸、漁港、港湾、海中などに設置する直立型の消波ブロックに関する。
実用化技術
従来の消波ブロックは防災目的が主であり、人を寄せ付けない構造と形状であった。
対して開発ブロックは、人を積極的に寄せ付け直接的な利用の観点を取り入れた構造と形状にある。
この技術の採用により、通常時は、海岸護岸が海に向かった観客性となり、また家族でも楽しめる釣り場や賑わいの場を提供可能となる。まさに、コーラルハーモニーテラス(サンゴ礁と調和するテラス)となる。
古来ハーリー会場となっているような海浜背後に設置することで、海岸護岸がそのまま海の祭典の観客席となる。あるいは、これを潜水堤として利用することで、新たな人工リーフが構築され、潮流に優しく、暴浪に対しては効果的に作用し、人工漁礁ともなり得るので熱帯魚の幼稚園としての作用も併せ持っている。
これまでの防災一辺倒の消波ブロックの機能特性を塗り替えるものと言える。施工については、サンゴ礁海岸のような浅場での作業を人力で設置でき、大型作業船等を必要としない点なども特徴である。
技術の特徴と優位性
本技術は、複数の貫通孔を有し、四隅が隅切りされた方形状の底体と、底体の1の側端に立設する壁体と、底体に立設する複数の円柱体と、からなり、底体、壁体及び円柱体を組み合わせて構成されるブロック体が、その壁体に、壁体の底部分には切欠部が、壁体の天面部分には前記切欠部に嵌合する突出部が、それぞれ形成されており、切欠部と突出部とを嵌合させるようにして複数積層されていることを特徴とする消波ブロック堤である。
消波ブロックや消波ブロック構造体を、重量を変えたり、積層して設置したりできることから、設置規模に応じた設計変更が可能になり、鉛直方向に積層することで設置面積を小さくでき、波浪を減勢し、波の打ち上げ(波飛沫)や越波、反射波、港内振動、湾内振動などを抑える機能を果たすことができる。特に、多段状に積層することで、大きな波浪の衝撃力を徐々に減勢して、波の打ち上げ(波飛沫)や越波、反射波、港内振動、湾内振動などを抑えることができるほか、全方位からの波の消波ができることから、漁港内、港湾内の静穏度向上を図ることができ、魚礁ブロックとしても利用できる。
関連する特許や論文等
・特許第6894607号(共有特許権者:東洋コンクリート株式会社)
・規則波を用いた直立護岸上の越波流量に関する研究 (通常号):田中聡、仲座栄三、福森匡泰、宮里信寿、Carolyn SCHAAB、土木学会論文集B2 (海岸工学)、土木学会、77 ( 1 )、40 – 54 、2021。
・透過型人工リーフの水理学的特性に関する研究:宮里信寿・仲座栄三・田中聡・福森匡泰・Carolyn SCHAAB、土木学会論文集B2(海岸工学) 、土木学会 、76 ( 2 )、 I_763 – I_768、2020。