技術分野
海洋での潜水夫同士または潜水夫と船の大容量海中デジタル通信を実現し、安全確認、位置把握等への応用や、海中探査船、海中ロボット等が取得したデジタル情報(画像、動画など)を母船に送波して海洋資源探索等に応用できる水中超音波通信装置に関する。
実用化技術
・海中での大容量通信を音波用いて実現。
・移動する海中ドローンとの通信のために独自のドップラー対策を特許化。
・今後海中でのGPS(位置取得)技術とあわせて、海中ドローンを自動航行させ、無線で映像情報を取得できる。
・海洋養殖の無人監視、海洋資源調査の無人化、海底地図の無人測定などが可能になる。
技術の特徴と優位性
受波信号をサンプリング周波数でデジタル値に変換するアナログ・デジタル変換部と、送受波器間の位置変動に伴って受波信号が時間的に伸び縮みする割合(伸び縮み比率)を検知する伸び縮み比率検知部と、デジタル値に変換された受波信号を伸び縮み比率に応じてリサンプリング変換するリサンプリング部と、リサンプリング変換により生じた周波数のズレを補正するデロテーション部と、OFDM信号(直交周波数分割多重)を構成するサブキャリアの一部の時間的変化によりドップラーシフト量を検知するドップラーシフト検知部と、を備え、ドップラーシフト量をもとにOFDM信号のドップラー補正を行うことで、送受波器間の位置変動に対する受波信号の精度改善を図る水中超音波通信装置において、デロテーション部が、リサンプリング変換により発生した周波数のズレ量(例えば、次の式)の複素共役値の乗算として実現されることを特徴とする。
この水中超音波通信装置によれば、水中を伝わる音波を受波した場合に送受波器の位置変動によって生ずる時間的な信号の伸び縮みを補正でき、また、ドップラーシフト量を検知して補正することにより、残留ひずみを補正して伝送性能向上を実現する。さらに、OFDM受波装置を複数用い、そのOFDM受波装置の出力を合成することによって、ノイズ成分を抑圧することが可能となり、ノイズやひずみに強い水中超音波通信装置を実現できる。
関連する特許や論文等
・特許第6707737号(共有特許権者:沖縄工業高等専門学校、株式会社OKIコムエコーズ)