技術分野
振動を用いた害虫の行動制御による植物保護技術に関する。より具体的には、本発明は、振動を用いたコナジラミ類又はアブラムシ類の行動制御によりこれらの対象害虫を直接又は間接的に防除して作物に対する加害を減じ、もって作物を保護する方法に関する。
実用化技術
昆虫の行動が基質振動により変化するという現象に着目し、加振器による振動を植物に伝達することで、難防除害虫の被害低減と受粉効率化を実現した。本研究成果はSDGsの一環である「持続可能な農業生産」へ貢献しうる新たな技術であり、食料生産性の向上に資することが期待される。
技術の特徴と優位性
本技術は、作物栽培施設を構成する枠部、又は畝の上方に並行して設置された線状部材に振動を与えることで作物栽培施設内の作物に振動を伝達し、コナジラミ類の作物栽培施設における生息密度を低減する方法である。前記作物に与えられる振動の周波数の範囲は30~300Hz、振動の加速度の範囲は0.1m/s2~3.5m/s2であり、加振器により発生された振動が用いられる。加振器は線状部材又はその近傍に設置され、植物支持部材であるワイヤー、ひも、又は誘引治具の一端を線状部材に懸垂し、ワイヤー、ひも、又は誘引治具の他端を作物に接触させて加振器が発生した振動を作物に伝達することを特徴とする。
野菜や園芸作物を生育している施設において、栽培施設を構成する枠部等に振動を与えることにより、コナジラミ類やアブラムシ類といった害虫を防除することができ、広範囲から選択した周波数にて、大きな加振力を発生させることで、一層高い防除効果が期待される。
関連する特許や論文等
・特許第6991488号(共有特許権者:国立研究開発法人森林研究・整備機構、国立大学法人電気通信大学、東北特殊鋼株式会社、宮城県、神奈川県、兵庫県)
・Yanagisawa R, R Suwa, T Takanashi, H Tatsuta 2020. Substrate-borne vibrations reduced the density of tobacco whitefly Bemisia tabaci (Hemiptera: Aleyrodidae) infestations on tomato,
Solanum lycopersicum: an experimental assessment. Applied Entomology and Zoology 56: 157-163.
・イノベーション創出強化研究推進事業(JPJ007097) 課題番号02006A