技術分野
フレキシブルな薄膜電界効果トランジスタ(TFT)基板に形成したシリコン層に一定条件のエキシマレーザーを照射して、シリコン層を結晶化させるアニール処理の過程において、基板が耐熱温度以上に加熱されないようにフレキシブル基板を製造する方法である。
基板上に金属層と耐熱性のバッファ層を形成することで、シリコン層に入力される高温のエネルギーを拡散することができ、液晶ディスプレイにおいて求められている可撓性の高い樹脂基板の炭化等の破損を防止できる。
実用化技術
新しいディスプレイ上へ駆動用薄膜電界効果トランジスタ(TFT)を搭載させる低温での形成法である。耐熱性、材料コストが低く可撓性の高いフレキシブル、フォールダブルな樹脂シート上にパネルを製造できる。近年、その需要は拡大し、従来のスマホパネルなどのデバイス機器への応用だけでなく、ウェアラブル機器、医療機器などさまざまな分野への適用が期待できる。
技術の特徴と優位性
樹脂基材上に、スパッタリング法により、チタン層を形成するステップと、前記チタン層上に、スパッタリング法により、ZnS−SiO2膜、SiOX膜またはSiNX膜を含んで構成されるバッファ層を形成するステップと、前記バッファ層上に、絶縁層としてシリコン酸化膜(SiOX)またはシリコン窒化膜(SiNX)の層を形成するステップと、前記シリコン酸化膜(SiOX)またはシリコン窒化膜(SiNX)の層上に、スパッタリング法により、アモルファスシリコン層を形成するステップと、前記アモルファスシリコン層の表面温度が1600K以上であって2000Kを超えない範囲で前記アモルファスシリコン層にレーザーアニール処理を施すステップと、を有し、前記レーザーアニール処理は、エキシマレーザーを、波長190〜400nm、パルス幅15〜50ns、周波数500〜6kHz、10〜200パルス、単位面積当たりのエネルギー量50〜200mJ/cm2にて、フレキシブル基板上に製膜させた前記アモルファスシリコン層上に照射する、ことで、この過程で樹脂基材の表面温度が一度も500K(約227℃)を超えないことを特徴とする。シリコン層の結晶化の際にエキシマレーザーを照射しても、その熱が金属層およびバッファ層により拡散され、樹脂基材が耐熱温度以上に加熱されないため、結果、樹脂基材の炭化等の破損を防止できる。
関連する特許や論文等
・特許第6718638号