研究シーズの内容
<海水中での二酸化炭素の水素化>
炭酸脱水酵素(Carbonic Anhydrase)の合成モデル錯体を用いて二酸化炭素を海水中に速やかに取り込み、水和して得られた炭酸水素イオンを有機金属錯体触媒によりギ酸、ホルムアルデヒド、メタノールへと変換する手法を確立した。現在、海水中の塩化物イオンの影響を受けない触媒の開発に成功しており、海水中での様々な物質変換反応に応用可能である。
<サンゴ骨格の成長、Biomimetic Mineralizationによる機能性材料の開発>
二酸化炭素固定化の一つとしてサンゴ骨格の形成に着目し、炭酸脱水酵素モデル錯体が及ぼすサンゴ骨格形成への影響を調べている。予備実験においては、炭酸脱水酵素モデル錯体を添加した海水において、サンゴの石灰化および光合成量に増加傾向が見られた。また、サンゴの石灰化のメカニズムにならい、in vivo実験において、炭酸脱水酵素の一種であるナクレインのモデル化合物を用いて炭酸カルシウムの結晶形およびモルフォロジーの制御を行い、新規機能性材料の開発も行なっている。
海水は地球上で最も豊富かつ入手が容易な資源の一つであり、海水を利用する触媒反応の開発は、温室効果ガス排出削減、持続可能社会の実現および工業化の観点からも、今後推進すべき研究テーマの一つとして位置づける必要がある。
実用化イメージ
二酸化炭素の有効利用・海水の資源化
関連する特許や論文等
科学研究費補助金(挑戦的萌芽研究)「二酸化炭素の資源化を目指した海水中での触媒反応」研究代表者:高良 聡(2015-2017)