研究シーズの内容
沖縄のような亜熱帯・熱帯気候にある島嶼地域では高温多湿のため、多くの地域でカビ・錆防止目的で除湿機が常時稼働している。そのため家庭でも多量の「除湿水」が生成されているが、「汚い」というイメージで廃棄されている。しかし除湿水は原理的に「蒸留水」と等しく、空気中の雑菌・有機炭素が含まれていても微量であることから、大量の除湿水で薄まることで水道水より圧倒的に不純物量が少ないはずである。そのためトイレの水などの生活用水(炭酸カルシウムなどがたまらないというメリットがある)や実験用蒸留水として軽微な処理のみで活用可能と考えられる。そこで本研究室では高温多湿な島嶼地域における隠れた水資源として除湿水の有効活用を目指し、除湿器やエアコンで取れる水の量とイオン・有機炭素濃度を測定しつつ、処理方法の検討を行っている。調査の結果、季節変動はあるものの概ねイオン量は水道水よりはるかに清浄で、有機炭素も軽微な処理で問題無く利用できることが明らかになった。これをイオン交換・フィルター処理などで精製すると更に現象し、どちらも不純物1ppm以下に抑えられた。採水量も定格平均して定格(湿度60%の採水量。家庭用では10 L/日程度)以上採水でき、エアコン排水では1時間で2 L弱採水できたため、質的・量的にも優れた水資源であることが明らかになっている。現在、飲料水としても利用できるよう、製品開発中である。
実用化イメージ
・エアコン(クーラー)や除湿器で出た水をタンクに貯め、トイレなどの生活用水として利用する
・除湿器と精製システムをドッキングし、高温多湿地域の学校現場への実験用蒸留水とする
関連する特許や論文等
ウォーターサーバー:特願2018-160696