研究シーズの内容
貝殻や白化したサンゴ骨格は主成分炭酸カルシウムの他に「コンキオリン」という保湿剤の元となるたんぱく質など有機物が含まれている。通常、これらと炭酸カルシウムを分離するには塩酸などの酸を用いるが、処理後に残存する酸の除去が必要であることや、炭酸カルシウム自体のニーズもあるため、酸を使わず炭酸カルシウムと有機物を分離する技術を確立する必要がある。そこで我々は二酸化炭素でこれらを分離する技術を開発している。通常炭酸カルシウムは、二酸化炭素のみでは非常に溶解度が小さい。しかし我々は、ミリングにより微粉化した貝殻を、ある物質と共に水中で混合し、二酸化炭素10気圧を加圧することで、図のように炭酸カルシウムを完全に溶解することに成功した。ただし現状は装置の仕様が不十分であるため、完全には分離できていない。そのため現在は完全に有機物と炭酸カルシウムを分離可能な装置を開発中である。また、コンキオリンは加水分解をする必要があるため、酸を使わない加水分解方法を開発する必要がある。
図.貝殻中の炭酸カルシウム溶解現象
実用化イメージ
・チョーク、LIMEXなど炭酸カルシウム製品への応用
・コンキオリンの基礎化粧品への利用