研究シーズの内容
水素エネルギー社会の実現には、水素の製造、貯蔵・輸送、利用技術の確立が必要であり、中でも貯蔵の分野は立ち遅れている。水素貯蔵材料の実用化に求められるコスト、エネルギー効率、資源量すべてをクリアする材料が現状では無く、それゆえ商品化されたものはほとんど無い。
私の研究室ではこの状況を打破すべく、水素貯蔵材料実用化を目指して基礎・応用の両面から材料開発を行っている。中でも図1に示すアンモニアボラン(AB、NH3BH3)や類似材料の研究に注力しており、アンモニアボランにイオン液体や金属水素化合物を混合・化合することで、水素放出速度を改善し、燃料電池を汚染する不純物の放出を抑える取り組みを行っている。また、前職において開発したヒドラジンとアンモニアを用いた水素最充填法を発展するべく、様々な形態のアンモニアボランまたはアンモニアボラン系材料の再生に関する研究を行っている。特に最近では窒化ホウ素(BN)からのアンモニアボラン合成に成功している(図2)。
実用化イメージ
分野および用途
・材料(素材)メーカー、化学メーカー、ガス会社等
・電池関連、自動車関連、その他
関連する特許や論文等
1)“Regeneration of Ammonia Borane Spent Fuel by Direct Reaction with Hydrazine and Liquid Ammonia”, Andrew D. Sutton, Anthony K. Burrell, David A. Dixon, Edward B. Garner III, John C. Gordon, Tessui Nakagawa, Kevin C. Ott, J.Pierce Robinson, and Monica Vasiliu, Science, 2011, 331, 1426-1429.