研究シーズの内容
水素エネルギー社会の実現には、水素の製造、貯蔵・輸送、利用技術の確立が必要である。沖縄などの島嶼地域や外界から孤立した地域は資源に乏しく、外部から水素を運搬する輸送コスト等が高い。したがって、島嶼地域への水素社会移行へのハードルが高いため、水素の自給自足が望ましいと考えられる。
私の研究室では自然界や廃棄物から自然発生するアンモニアが高密度に水素を含有していることに注目し、これまで培ってきた水素貯蔵材料の知識・経験を活かしたアンモニア回収法確立を目指して基礎・応用の両面から材料開発を行っている。具体的には金属塩がアンモニアを吸収し、アンミン錯体(例:[Ca(NH3)6]Cl2)を形成する材料を用いて低濃度のアンモニアを回収・濃縮する手法(材料・システム)の開発と、アンモニアを含む廃棄物からアンモニアを高純度に取り出す手法の開発を行っている。本研究室では既に、本学の授業(化学実験など)で廃棄される銅アンミン錯体の水和物(図1)から水を選択的に除去し、高純度アンモニアを取り出すことに成功している。現在は金属塩のアンモニア吸蔵圧の調査とアンモニアを含む実験廃液から金属塩を用いたアンモニア回収システムの開発に取り組んでいる。
実用化イメージ
分野および用途
・材料(素材)メーカー、化学メーカー、ガス会社等
・電池関連、自動車関連、農業、産業廃棄物、その他
関連する特許や論文等
1)「アンミン錯体水和物からの高純度アンモニア回収法確立とアンモニア貯蔵特性の評価」城間真明、中川鉄水、第10回水素若手研究会(2015、福島)2-9.