研究シーズの内容
青果物の鮮度保持においては、雰囲気ガス濃度組成を低酸素・高二酸化炭素にすることにより、鮮度が延長されることが知られている。青果物の包装については、ポリエチレンフィルム(PE)や、ポリプロピレンフィルム(PP)などのプラスチックフィルムを利用し、青果物の呼吸作用によって、簡易に低酸素・高二酸化炭素状態が得られるMA(Modified Atmosphere)包装が、安価で手軽な鮮度保持方法として普及している。しかしながら、MA包装におけるフィルム袋内のガス濃度組成は、流通及び貯蔵温度での青果物の呼吸とフィルムのガス透過量に依存しており、厳密に制御することは困難となる。フィルム袋内の青果物の呼吸速度が、フィルム表面からの酸素透過速度より大きい場合、青果物にとって極端な酸素不足に陥り、エタノールやアセトアルデヒド等の生成や、ピッティング(くぼみなどの症状)を生ずる場合がある。
本研究室では、青果物の品質保持を目的としたMA包装による鮮度条件を明らかにし、雰囲気ガス濃度組成下の呼吸量の変化や機能性成分等の変化についての調査を行っている。
実用化イメージ
● 青果物の抗酸化力を保持するために適した保蔵条件の調査
● 青果物の収穫時期ごとの品質および鮮度保持期間に関する調査
● 果汁加工品の保蔵中における品質および機能性成分の安定性に関する調査
関連する特許や論文等
宮城一菜ら:MA包装が青切りシークワシャー果実の鮮度保持、ポリメトキシフラボン類、シネフリン、アスコルビン酸、ラジカル消去能活性等に及ぼす影響、日本食品保蔵科学会誌、37(2)、51-59 (2011)
宮城一菜ら:保蔵温度がシークワシャー果汁の品質に及ぼす影響、中村学園大学研究紀要、第41号、297-303 (2009)
宮城一菜ら、季節変化がシークワシャー果汁の品質特性に及ぼす影響、日本食品保蔵科学会誌、36(1)、17-21 (2010)