研究シーズの内容
琉球列島に生息する毒ヘビは、ハブ、ヒメハブ、サキシマハブ、タイワンハブの4種類である。これらのハブ類による咬症件数は、年間およそ100件に及ぶ。ハブはその種類によって保有する毒素量や毒性が異なり、毒素量が多く、かつ、高い毒性を発揮するハブに咬傷された場合は重症化しやすく、また、毒素量が少なく毒性も低いヒメハブの場合は、対症療法だけで充分であることがほとんどである。ハブ咬症に対する唯一の治療薬である「乾燥はぶウマ抗毒素」は、ウマ抗血清からつくられているため、ヒトに対してはアナフィラキシーショックなどの重篤な副作用を誘発する危険性がある。そのため、症状観察により生命に危険があると判断されない限り、ウマ抗毒素の使用を見送るのが通例である。
咬傷ハブの種類を特定し、医療現場におけるスムーズな処置につなげることを目的として、咬症患者の血液、あるいはぬぐい液などで簡便かつ迅速に検査ができるハブ類識別診断薬(イムノクロマトキット)の開発を目指している。各種ハブの毒素に特異的に結合するモノクローナル抗体を作出し、イムノクロマトキットを試作している。
実用化イメージ
ハブ咬症患者に対する検査用ハブ識別イムノクロマトキット