研究シーズの内容
生物は生息環境の変動を感覚器官で感じ取り、体内情報に転換して成長したり繁殖したりしている。サンゴ礁などの浅海域に生息する生物の場合、日長や水温、さらには月光や潮汐などが成長や繁殖の時刻合わせに重要な役割を果たしている。これらの環境要因が生物にどのように感じ取られ、そしてどのような体内情報に転換されているのかを明らかにできれば、海洋生物の成長と成熟を自由に操ることができる技術の開発に結びつく。
現在、サンゴ礁に生息する魚類や造礁サンゴ類を使って進めている。これまでに、魚類(ルリスズメダイ)の光受容機構を明らかにし、その知見を基盤とし、発光ダイオードや備光材料(ルミノーバ)で魚類の脳内にある光受容体を刺激して生殖腺の発達を誘導することに成功している。
環境の操作による成熟誘導実験例
実用化イメージ
・海水魚の繁殖を調整し、生産性、品質性を高める養殖技術の開発
・海洋生物(海水魚・甲殻類等)を陸上で安定的に養殖するための研究開発
・希少海洋生物の保護に役立つ繁殖技術の開発
関連する特許や論文等
1)Bapary MJA,Imamura S,Takemura A(2012).Long-afterglow-phorescent pigment is a potent tool for manipulation of reproductive performance in fish.Fisheries Science,78:337-342.
2)Bapary MJA,Amin MN,Takeuchi Y,Takemura A(2011).The stimulatory effects of long wavelengths of light on the ovarian development in the tropical damselfish,Chrysiptera cyanea.Aquaculture,314:188-192.