研究シーズの内容
一般家庭の風呂場等で発生するカビ(真菌)の洗浄にはアルカリ洗剤等が用いられることから、よりマイルドで人体への影響が少ない洗浄剤の開発が求められている。さらに、植物病原菌の約8割を占めるカビに対する抵抗性タンパク質遺伝子の探索・利用は、21世紀の食糧問題の解決に繋がるものと考えられる。
我々の研究室では、植物がカビからの攻撃を防御するために、病原性真菌の細胞壁の主成分であるキチンを直接分解し、抗真菌性を発揮するキチン分解酵素(キチナーゼ)を有しているのに着目し、キチナーゼの構造と抗カビ活性の相関についての研究に取り組んでいる。様々な種類の植物キチナーゼの中から新奇のキチナーゼを発見するとともに、表面電荷の改変による活性上昇やドメイン付加による活性付与等、多くの知見が得られている。
これらの研究成果をもとに、植物キチナーゼの高い抗真菌活性と特異性を応用し、有効で安全な抗カビ剤の開発が期待できる。
実用化イメージ
分野および用途
・農作物における病原性のカビに対する微生物防除、バスや流し台等の安全な生活洗剤、食品の防カビ剤としてのバイオプリザベーション、真菌の形質転換(プロトプラスト)用実験試薬等
関連する特許や論文等
1) Taira T. Structures and Antifungal Activity of Plant Chitinases. J Appl Glycosci. 57:167-176 (2010)