研究シーズの内容
HTLV-1感染を原因とする成人T細胞白血病(ATL)は確立された治療法が無く、新規治療法や感染後の発症予防法の開発が望まれている。また、EBウイルスやカポジ肉腫関連ヘルペスウイルス感染が原因となるバーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫、原発性体腔液性リンパ腫は、治療抵抗性や再発、二次発がんの課題を有している。
当講座では腫瘍ウイルス蛋白質による白血病や悪性リンパ腫の細胞生存シグナルの修飾を解析しており、試験管内実験にて低分子阻害剤による抗腫瘍効果を細胞死や細胞周期に及ぼす影響を検討することで評価している。さらに、動物モデルでの効果と副作用の検証等の実験系を確立しており、臨床試験への橋渡し研究を実施している。特にNF-κB阻害剤のATL治療への応用研究は分子標的療法の先駆的報告となった(Mori et al. Blood 2002; 100: 1828-34)。
また、発症予防の方法としては、長期間の内服や副作用等を考慮した結果、天然資源の応用が最適と考え、沖縄モズク、サンゴ、タチアワユキセンダングサ等を由来とする生理活性物質を用いて抗白血病・リンパ腫効果とその作用機序を解析した。特に沖縄モズク由来のフコイダンについては臨床試験を実施し、HTLV-1感染者のウイルス量を減少させる効果について明らかにした。上記の造血器腫瘍に加えて、骨肉腫等についても、低分子阻害剤や天然資源を用いて、転移の抑制も含めた有用性の検証を行い、多くの知見を見出している。
実用化イメージ
分野および用途
・製薬メーカー、健康食品メーカー等
・治療薬、健康食品等
関連する特許や論文等
1)ウイルス関連悪性腫瘍治療剤(特許第4337986号)
2)医薬およびこれに使用する抽出物(特許第4649617号)
3)抗ウイルス剤(特許第5610131号)