研究シーズの内容
当研究室では、これまでに、ポリスチレン−ポリエチレングリコール両親媒性レジン担持パラジウム錯体1を開発し、完全水中系での各種クロスカップリング反応やアルコキシカルボニル化反応または、有機変換反応によるEGFR阻害薬の合成に成功してきている。
2015年には、高分子担持触媒による完全水中系での脱ハロゲン化の開発を行った。本反応により、水中に含有するPCB(ポリクロロビフェニル)やPBB(ポリブロモビフェニル)といった環境ホルモンを分解除去することが可能となった。2017年には、本触媒中の遷移金属錯体部位を構成する配位子が非常に広いバイトアングルを持つ特性を活かして、完全水中系でのアミノカルボニル化反応の開発も行った。
これらの結果をもとに更に開発を行えば、水中に溶け込んでいる有毒な有機物の分解除去や、有害物から有用な化合物への変換を行う技術の確立ができると考えている。
実用化イメージ
分野および用途
● 水中に含有する有機物の変換・除去・無毒化
● 水中での有機合成反応
● 新規触媒の開発
関連する特許や論文等
1) T. Suzuka, H. Sueyoshi, S. Maehara, H. Ogasawara, Molecules, 2015, 20, 9906-9914.
2) T. Suzuka, K. Ogihara, M. Higa, Trans. Mater. Res. Soc. Jpn, 2014, 39, 235-238.
3) T. Suzuka, Yuzuru Sato, K. Ogihara, Trans. Mater. Res, Soc, Jpn, 2014, 38, 357-360.
4) T. Suzuka*, H. Sueyoshi, and Kazuhito Ogihara, Catalysts, 2017, 7, 107-115.