研究シーズの内容
福祉用具は、障がいを抱える方々の日常生活の自立や労働を支える重要なツールである。当研究室では、それら福祉用具に知能情報工学や生体情報工学の視点を取り入れた福祉機器の開発に取り組み始めている。
現在、当研究室では2つの福祉機器の開発に取り組んでいる。1つ目は、車椅子利用者の褥瘡いわゆる床ずれを予防する「賢いクッション」の開発である。車椅子利用者はクッションやリクライニングを利用して臀部の褥瘡を予防しているが、その調節が主観的であるために褥瘡を予防しきれないという問題がある。そこで当研究室では、座面にかかる圧力や姿勢維持に関わる筋活動などの生体情報を計測および解析し、褥瘡予防に有効な座位姿勢を調べている。今後は、リアルアイムに最適な座位姿勢をつくりだす「賢いクッション」の実用化を目指してクッションの設計や試作を進めていく予定である。
2つ目は、キーボード入力可能な点字タイプライタの開発である。点字タイプライタは、視覚障がい者や盲ろう者の日常会話や会議の議事録作成に用いる福祉用具の一つである。市販されている点字タイプライタは点字を習得している者しか扱うことができず、点字タイプライタの入力を補助するスタッフやボランティアが見つかりにくいという問題がある。そこで当研究室では、パソコンのキーボード入力から点字を出力できるタイプライタの開発を進めている。将来的には、AI技術を用いて文節分かち書きなどの点字に特有の文章表現方法を自動生成できるシステムの開発を目指している。
実用化イメージ
・車椅子利用者向けの褥瘡予防クッションの開発
・パソコンに接続して利用できる点字タイプライタ、自動点訳機器、点字学習機器の開発