研究シーズの内容
蛍光指紋は励起蛍光マトリックスとも呼ばれ、試料に照射する励起光の波長を走査しつつ蛍光スペクトルを連続的に計測し、励起波長と蛍光波長の全ての組み合わせで発せられる蛍光の強度を網羅的に計測する手法である。このような網羅的な計測は、食品のように複数の成分が混在し、成分間のバランスや微量成分の有無が重要となる試料には非常に効果的である。また、蛍光指紋計測は標準的な成分分析手法に比べて迅速、低コストかつ試料調整が最小限で済むという特徴がある。
本研究では、泡盛とその主要な特徴香成分であるバニリンおよびその前駆体である4-VGの標準試薬について、取得した膨大なデータを主成分分析等で処理し蛍光指紋を等高線パターンで視覚化することで、泡盛の熟成期間や蒸留法の違いといった特徴を簡易かつ迅速に評価する方法を確立した。
図1 泡盛試料の蛍光指紋(貯蔵期間別)
図2 貯蔵期間と4-VG(左)およびバニリン(右)に対応する蛍光強度の関係
実用化イメージ
・泡盛の品質保証や行程管理への活用、その他食品・農産物への応用に関する技術相談
・近赤外分光法(NIR)を用いた農作物の品質評価システムに関する技術相談
関連する特許や論文等
5)可視-赤外分光技術による製糖品質評価システムの開発,科研費,2014~ 2016
6)泡盛の蛍光指紋と品質特性に関する基礎的検討,日本食品科学工学会誌 64(12) 577-583,2017