研究シーズの内容
アンモニアボラン(NH3BH3)は重量の20%が水素(高水素密度)、空気中で安定、理論上は低温でも水素を放出する、どこでも原料を調達可能、合成法が簡便、水素を取り出す方法が多様、大量生産すれば原価1円/g以下という多くの利点を有する。しかし①可逆性(水素を入れ直す技術)、②遅い水素放出速度、③アンモニアなどの不純物放出という課題を有している。本研究室ではこれらを全て解決し、ポータブルもしくは分散型燃料電池充電器(燃料電池車の緊急水素充填装置含む)の水素源として社会実装する研究を行っている。既にアンモニアとヒドラジンを用いた水素再充填法(①を解決)、アンモニアボランに複数の物質を混合することで室温から水素を取り出すことに成功し(②を解決。60 ℃では1時間で5.5質量%)、不純物を除去するフィルターを開発(③を解決)した。これを利用し、アンモニアボランから発生したアンモニアを含む水素を、③の技術を用いて精製し、燃料電池に流して携帯電話に充電することに成功した。また、回収したアンモニアを加熱することなく簡便にアンモニアボランへと変換する技術を開発した。
実用化イメージ
・教育用、移動式水素ステーション用水素発生装置
・アウトドア、非常用等のポータブル燃料電池
関連する特許や論文等
1) 特願2019-039892 : アンモニアボラン合成方法
2) 特開2018-184340 : 水素生成方法
3) Y. Nakagawa, et al., Int. J. Hydrogen Energy 42 (2017) 6173-6180.
4) T. Nakagawa, et al, RSC Adv. 4 (2014) 21681-21687.